勝手にふるえてろ ☆☆☆☆
「勝手にふるえてろ」
監督 大九明子
脚本 大九明子
原作 綿矢りさ
出演 松岡茉優 北村匠海(DISH//)渡辺大知(黒猫チェルシー)石橋杏奈 趣里 前野朋哉 古舘寛治 片桐はいり
公開 2017年12月23日
【ストーリー】
一般企業の経理として働いている江藤よしかは高校時代に片思いしていたイチを10年間ずっと想い続け、脳内妄想を膨らます毎日を過ごしていた。
そんなある日、同じ会社の二から告白され、人生初の体験に喜ぶよしか。
そのことを同僚の月島に相談すると二との関係を応援すると申し出る。
一方、よしかは家の火事で九死に一生を得たことをきっかけに、
イチに会うことを決意し同窓会を開くことを画策する。
よしかとイチはお互い、絶滅した生物の話題で意気投合するも、
イチはよしかの名前すら覚えてはいなかった。
よしかはその事実に傷ついてしまう。
さらに信頼していた月島も二に、よしかが処女であることをバラしてしまい、
よしかは誰も信じられなくなる。
気づけばよしかの名前を知る人など誰もいないことに気づき、
孤独な引きこもり生活を過ごすようになる。
ある日孤独に耐えられなくなったよしかは二を呼びつけ、
お互いに思いの丈を暴露し、二人は熱い接吻を交わす。
【感想】
なんだかいたたまれない気持ちになって、夜の街を走ってしまった。
松岡茉優の大胆な演技と繊細すぎる演技の振り幅に胸がかきむしられる。
閉鎖的で妄想の中でしか生きられない女性よしかの不器用すぎる生き方が辛い。
それを演出と脚本でいかにもポップに仕上げているのがまだ救いだけれど、
正直、男性目線ではわからない感情の流れが多くて、それも観ていて辛くなる。
勿論いい意味で。
原作綿矢りさ、脚本、監督大九明子の女性特有の切り口が光る作品。
久々に映画を観て、心がぐわんぐわんに動揺してしまった。
あー怖かった。
また、脚本でいえば、伏線を綺麗に回収していくのも印象的。
よしかと二が出会うきっかけになった左胸の赤い付箋。
よしかとイチの関係を象徴するアンモナイト。
絶滅した生物のようにおぼろげで、誰にも覚えてもらえてない
よしかの片思いと存在そのもの。
何気ない風景がよしかの心情とリンクし、
伏線として回収されていくストーリー展開は見ていて気持ちがいい。
また、数年後見返したくなる映画の一つ。