松野貴則の映画日記

映画のレビューブログです。僕個人の独断と偏見にまみれた作品紹介をしていきます! *ネタバレ注意*

白痴 ☆☆☆☆

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「白痴」

 

監督 黒澤明 

脚本 黒澤明 久坂栄二郎

出演 森雅之 原節子 久我美子 三船敏郎 

 

公開 1951年5月23日

 

【ストーリー】

白痴の亀田と赤間は北海道へ戻る青函連絡船で出会い意気投合する。

北海道へ戻ると亀田はショーウィンドウに飾られた那須妙子の写真に心奪われる。

那須妙子は政治家の愛人として生活をしていたが、稀有な運命で亀田と出会い、

その純粋な心に惹かれていく。

一方、亀田の下宿先の大野家の綾子も

彼と一緒に生活をするにつれて、

亀田の純粋さに恋してしまう。

亀田は二人の女性の板挟みになりながら、

最後には綾子を選ぶ。

綾子の提案により

赤間と暮らす妙子のもとへ

二人は会いに行く。

そこで待ち受けていたのは女の争いであった。

最後、必死のあまり過呼吸で倒れた妙子を

亀田が見捨てられない姿を見て

綾子は猛吹雪の外へ飛び出してしまう。

亀田はその後追いかけるが、

結局二人の結婚は破談になる。

亀田が赤間の家に戻ると、

妙子の脱ぎ捨てられた服を見つける。

奥の部屋を覗くと

妙子は赤間の手によって殺されていた。

赤間と亀田は精神的に追い込まれ、

白痴として一生を過ごすことになる。

 

【感想】

もうすでに森雅之のファンになってしまっている自分がいる。。。

浮雲の時とは違うお芝居で今回はまた少し稀有な役どころ。

亀田は戦争体験により、その後遺症として白痴になる。

純真な子供のような心の持ち主で

人を貶めたり、裏切ったりしない

真っ直ぐな心がその眼差しに

そのまま映すような役。

目線や瞬きを細かくコントロールしていて、(著しく瞬きの回数が少ない。)

首元で固く手を握っている姿などは役の癖としてオーバーなはずなのに、

全く違和感を感じさせない。

 

原節子久我美子

女同士の喧嘩というより、

張り詰めた駆け引きは

一瞬たりとも二人から目を話せないほどに

細やかな演技が光る。

 

息遣い、目線、言葉の駆け引きがすべて

観客の呼吸さえも止めてしまうほどに

美しく恐ろしい。

 

3時間という長編でありながら、

またもう一度見返したくなるような素晴らしい作品!!